弁護士に依頼するメリットと時期、離婚条件や離婚への流れなど詳しく紹介

離婚にあたって気になることをご説明

離婚成立までの道のり


話し合いをしたことがなく、話し合いができるのであれば本人同士で、離婚するかどうか、財産分与や養育費など離婚で決めることをどうするかについて、話し合いをした方がよいと思います。
話し合いの前にご相談に来ていただいて、大事なポイントを抑えたうえで、話し合いに臨むのがベストです。
話し合いがまとまったときは、その内容を離婚合意書にまとめて2人で署名押印して作成し、離婚届を役所に提出して離婚を成立させます。
いわゆる協議離婚です。
離婚にあたっての取り決めや離婚合意書の作成に不安があれば、その都度弁護士の法律相談を利用して進めていくこともできます。

相手が感情的になってしまい冷静な話ができない、相手と顔を合わせることすら辛い、離婚にあたって決めるべきことについて難しくて分からない、相手が言うことを聞かない、調停や裁判の期日に毎回出席することができない、というときは弁護士に依頼しましょう。

お客様の代理人として、交渉、裁判手続にあたります。
都度、お客様と作戦会議をして現状のご説明、法律のご説明、とるべき方針についての助言、心理的なサポートをします。
不安なこと、気になることがありましたら、お気軽に相談の予約をとって打ち合わせをすることができます。
危険なルート、余計な回り道を回避して、安全なルートを選んで、お客様と離婚という解決(ゴール)を目指す、ガイドとお考え下さい。
不慣れな手続を一人で進めるのと弁護士とともに進めるのとでは安心感が全然違います。

裁判所に調停の申立てをして始める手続で、男女2名の調停委員が間に入って、話し合いを進めていきます。
調停では、申立人(申し立てた人)と相手方(申し立てられた人)が交互に調停室に入って調停委員に考えを伝え、調停委員は中立の立場で調整役を務め、解決の着地点を探っていきます。
1回の調停期日では、そのようなやり取りが2往復くらい実施され、次回の調停期日を決めてその日は終わります。次回の調停期日は1~2か月後になり、話し合いがまとまるか決裂するまで続けます。調停の申立てから第1回の調停期日までは1か月半から2か月程度かかります。
調停はどのくらいかかりますかという質問を良く受けますが、それはケースによって様々です。
なお、離婚調停は相手の居住地を管轄する家庭裁判所に申し立てる必要があります。

離婚調停で解決できなかった場合、離婚を実現するためには離婚訴訟を提起することになります。
離婚訴訟は、当事者が事実関係の主張と証拠の提出を行い、それを前提に、裁判所が離婚させる・させない、離婚させる場合はその離婚の条件を、判決で定める手続です。
離婚訴訟になると、一切話し合いによる解決がなくなるわけではなく、途中で和解により解決することもあります。
裁判所が和解を勧めてくれることもありますし、当事者の一方が和解による解決を申し出ることもできます。そこで和解による解決の見込みがあれば、和解のための話し合いの場を持つことができます。
なお、離婚訴訟は自分の居住地を管轄する家庭裁判所に提起することができます。

離婚成立までの間の問題


離婚の話し合いを進める中で、同居していることが耐えられなければ別居する必要がでてきます。
別居は、離婚の成否に影響を与える場合があります。
まず、相手に離婚の意思が本気だということが伝わり離婚を促す要素になり、同居を続けるより早期に離婚が実現する場合があります。
また、もし、当初はさしたる離婚原因(裁判所から離婚の判決をもらえるような強い事情)がなく、裁判所の判決によって離婚を実現できない場合でも、別居期間が長くなれば裁判所に離婚を認めてもらいやすくなります。

収入の少ない方の当事者や、未成年の子どもを育てている方の当事者は、相手方に婚姻中の生活費の分担金(婚姻費用)を求めることができます。
あくまで分担金なので、相手から生活費の全額を支払ってもらえるわけではありません。
専業主婦の方で離婚をお考えの場合は、別居にあたってこの婚姻費用と今後のお仕事の収入で生活して行けるかどうか、計画を立てる必要があります。
婚姻費用の金額は、本人同士で合意できれば自由に決めることができます。
合意ができないときに目安になるのは、裁判所が作成した養育費・婚姻費用算定表です。裁判所のサイトに掲載されています。
「裁判所  養育費」 で検索すると簡単にみつかります。
本人同士で合意できなければ、婚姻費用分担調停を申立てる必要があります。調停で話合いがまとまらない場合は、裁判所が審判によって金額を決めます。
婚姻費用は、お互いの収入と子どもの数を養育費・婚姻費用算定表に当てはめることで機械的に算出されますが、夫が住宅ローンを払っている家に妻が住んでいる場合などは算定表からの修正が必要となります。このような場合は弁護士の助言が必要となります。

未成年の子どもがいて別居した場合、一方の親は子どもと日常的に会うことができなくなります。
この場合に、一緒に生活しない方の親が子どもと面会することを面会交流と言います。
まずは、親同士で話し合いをして面会交流の実現を試みます。
もし、一緒に生活している方の親が面会交流を拒んだ場合、一緒に生活していない方の親は、裁判所に面会交流の調停・審判を申し立てて面会を実現することができます。

離婚にあたって決めること


親権は身上監護権と財産管理権からなります。
離婚によって子の親権を持たないことになったからといって、子との縁が切れるわけではなく、親と子という関係は離婚してもそのまま続きます。そもそも、親権は子が成年になるまでの間の一時的な権利です。
親権について両親が合意に至らない場合は、子の利益が図られることを最優先に、父母の状況、子の状況、監護方針から、両親のいずれが親権者となるべきか判断されます。判断要素としては、乳幼児期における母性優先の原則、監護の継続性の原則、きょうだい不分離の原則などがありますが、実務上、母親が圧倒的に有利な状況です。
子の意思については、裁判所の手続による場合15歳以上の子については必ず子の意見をきくこととされ、子の意見は強い事情となります。15歳未満であってもそれに近い年齢であれば子の意見が尊重されることが多くなっています。

養育費は、子どもの養育にかかる費用の分担金です。
婚姻費用とは違い、元夫、元妻の生活費は含まれないので、婚姻費用よりは低額です。
養育費の金額は、本人同士で合意できれば自由に決めることができます。
両親が合意に至らない場合は、婚姻費用と同じように、両親の年収、養育する子の数、年齢を裁判所の算定表にあてはめて算出します。相手のために住宅ローンやその他の費用などを支払っている場合や、別々に子どもを養育している場合などは、算定表からの修正が必要になり、専門的な知識が必要となるのも同様です。

未成年の子どもがいる場合に、一緒に生活しない方の親が子どもと会う機会を約束するものです。両親の関係や子どもとの関係により、どのような決め方をするかはケースバイケースです。引き渡す場所、時間、方法、頻度を細かく決める場合もありますし、月一回面会交流させるとだけ決めるような場合もあります。
よく、面会交流を実施してくれないときは養育費を払わなくてもいいのではという質問も受けますが、養育費は面会交流の代金でなく親として支払う子どもの生活のためのお金なので、払わなくてもいいということはありません。正当な理由もないのに面会交流を実施してくれないときは、慰謝料請求をすることができます。

夫婦の共同生活によって形成した財産を離婚する際に2人で分けることをいいます。そのため、婚姻前から持っていた財産や、婚姻後でも相続や贈与によって得た財産は、夫婦の共同生活によって形成したものではないので対象となりません。これは、財産分与の中でも清算的財産分与というものですが、ほかに病気、高齢などのために稼働が困難であるという場合に離婚後の一定期間について相手の扶養のために一定額を余計に分与する扶養的財産分与、慰謝料の意味合いを持たせて一定額を余計に分与する慰謝料的財産分与というものもあります。

慰謝料は相手に不貞や暴力などの重大な問題があって離婚するときに請求することができます。解決金は慰謝料という言葉を言い換えている場合もありますし、相手に離婚に応じてもらうために払う場合もあります。

年金のうち、国民年金の部分は、受給年齢に達した場合に老齢基礎年金として離婚した夫婦がそれぞれ受給することができますが、配偶者が加入していた厚生年金・共済年金については、離婚した場合、そのままでは加入していた元配偶者のみが受給することになります。
この厚生年金・共済年金について、離婚した場合に、それぞれの婚姻期間中の保険料納付記録を分割して、相応の老齢厚生年金・共済年金を受給できるようにするのが年金分割制度です。
なお、平成20年4月1日以降の分の保険料納付記録の分割については、相手の合意や家庭裁判所の審判を受ける必要はなく、3号分割の手続を年金事務所等で行うだけで分割することができますます。
それ以前の分も含めて年金分割を行う場合は、合意分割という手続で行う必要があり、当事者双方が年金事務所等に出頭して手続を行うか、公証役場で年金分割について合意する公正証書を作成した上で当事者の一方が年金事務所等で手続をするか、家庭裁判所で年金分割の調停・審判・判決を経たうえで、その調書をもって当事者の一方が年金事務所に手続に行くかということになります。
分割の割合は、3号分割では当然に0.5となり、合意分割の場合も0.5が大原則となります。

相手が離婚に応じないとき


相手が不貞をしていた、暴力を振るうといった夫婦関係を壊す強い事情がある場合は、離婚訴訟で裁判所に離婚の判決を出してもらうことで離婚を実現します。

相手に不貞、暴力というような事情がない場合は、離婚を前提とした別居をして夫婦らしいやりとりがなく2年ほどの別居期間が経過すると裁判所が離婚の判決を出してくれるようになります。
ただ、自分の方に不貞、暴力というような事情がある場合には有責配偶者とされ、離婚の判決を簡単に得ることはできません。

そのほかの問題


夫婦関係の破綻に専らまたは主として責任のある配偶者を有責配偶者と言います。有責配偶者が離婚訴訟で離婚を請求しても、原則としてその離婚請求は信義に反するとして、裁判所に離婚を認めてもらえません。
しかし、① 夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及んでいるか否か
② 夫婦間に未成熟の子が存在するか否か
③ 相手方が離婚により精神的・経済的にきわめて苛酷な状態に置かれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反すると言えるような事情があるかという視点で問題がなければ、有責配偶者からの離婚請求が信義に反しないとして認められる場合があります。①の別居期間は、10年を超えると同居期間等との対比をするまでもなく長期間に及ぶものと判断されます。6年で長期間に及んでいると認めたものもあります。
②の未成熟子は、独立して生計を営むことができない子を指しますが、子が高校生であっても、相応の生活費を送ってきたことなどを考慮して離婚を認めた事例があります。 ③については経済的理由による苛酷状態が重視されます。現在の婚姻費用がなくなると、慰謝料や財産分与の支払いがあっても、苛酷な状態となるとされることがあります。

養育費や婚姻費用の支払を求めて調停の申立をした場合、未払分や不足分は、調停申立時、それより前に相手方に明確に請求をしていればそのときまで遡って取り扱われます。

当事務所での取扱事例


浮気をして出て行った妻から婚姻費用を請求されたという事例がありました。
婚姻費用には配偶者の生活費の分担金も含まれるので、浮気をして出て行きながら私の生活費の一部を払って欲しいというのは都合がよすぎる気がします。
そこで、浮気の事実を証拠で立証して、妻の生活費の部分は支払わないという主張をしたところ、子どもの生活費の部分の分担金(養育費相当額)まで支払額を下げることができました。

父親が親権をもつことができた事例があります。父親が親権をもつことができるのは母親の監護能力に問題があるか、母親が単身で別居し父親と子ども達が継続的に生活している場合が主です。
母親が単身で別居したという事例で、母親は親権を諦めていませんでしたが、父親には子どもさんが心を落ち着けて過ごせる環境作りとその生活を続けることで実績を作ってもらい、親権の取得に成功しました。

学資保険は、子どものために使うのだから、親権者となる方が取得して、財産分与の対象に入れて欲しくないというご相談がよくあります。ただ、学資保険の契約者は父母の一方であり、解約したときに解約返戻金を受け取れるのも契約者である父母なので、形式から見て学資保険は父母の財産です。これは、将来の学費のために学資保険ではなくお金を積み立ててきたというのと同じです。
そのため、財産分与の対象になってしまうのが原則ですが、話し合いで財産分与から除外してもらうことに成功した事例もあります。
相手方の理解次第ですが、最初から諦めずに希望を伝えることが大事だと思います。

弁護士費用について


着手金は33万円(消費税込み)。
報酬金は33万円(消費税込み)か、もらえることになった財産、相手方の請求を減額できた分から算出される民事事件報酬基準による報酬金のうち、多い方の金額になります。
さらに実費と遠隔地に行く必要があるときは日当がかかります。

弁護士に依頼するメリット

手続を円滑に進める

相手が感情的になってしまい冷静な話ができない、相手と顔を合わせることすら辛い、調停や裁判の期日に毎回出席することができない、弁護士に依頼すれば、このような問題から解放されます。

専門的に技術的に

場合によっては専門的な法律問題に発展することもあります。自分の味方となる弁護士が、技術的な面もしっかりサポートし作戦を立てたり手続きいたします。

相談の時期

離婚の話がほぼ固まっている場合でも、大事なことなので決断する前に相談は必ずしましょう。内容的にお互いが納得している場合でも、清算条項(さらに何かを求める請求ができなくなる条項)を入れた合意書を作成しておくとか、問題を締めくくるために工夫できることがあります。

途中からでも

ご自身で手続きをしてきたけれど、風向きが変わるなど弁護士に依頼する必要を感じたときにもご依頼ください。