弁護士に依頼するメリットと時期、離婚条件,離婚への流れ、不貞慰謝料・婚約解消などその他男女問題

弁護士に依頼するメリット

手続を円滑に進める

相手が感情的になってしまい冷静な話ができない、相手と顔を合わせることすら辛い、調停や裁判の期日に毎回出席することができない、弁護士に依頼すれば、このような問題から解放されます。

専門的に技術的に

場合によっては専門的な法律問題に発展することもあります。自分の味方となる弁護士が、技術的な面もしっかりサポートし作戦を立てたり手続きいたします。

相談の時期

離婚の話がほぼ固まっている場合でも、大事なことなので決断する前に相談は必ずしましょう。内容的にお互いが納得している場合でも、清算条項(さらに何かを求める請求ができなくなる条項)を入れた合意書を作成しておくとか、問題を締めくくるために工夫できることがあります。

途中からでも

ご自身で手続きをしてきたけれど、風向きが変わるなど弁護士に依頼する必要を感じたときにもご依頼ください。

離婚条件と離婚への流れ

 離婚する場合に決めること(離婚条件)

親権者

親権は身上監護権と財産管理権からなります。
離婚によって子の親権を持たないことになったからといって、子との縁が切れるわけではなく、親と子という関係は離婚してもそのまま続きます。そもそも、親権は子が成年になるまでの間の一時的な権利です。
また、親権は父親、監護権は母親とすることもできるのですかという質問がされますが、子どもに贈与などで得たまとまった財産があるけれども母親に浪費癖があるので財産の管理は任せられない、しかし子と同居して面倒を見るのは母親でいいというような特別なケースに限られます。
親権について両親が合意に至らない場合は、子の利益が図られることを最優先に、父母の状況、子の状況、監護方針から、両親のいずれが親権者となるべきか判断されます。判断要素としては、乳幼児期における母性優先の原則、監護の継続性の原則、きょうだい不分離の原則などがあります。子の意思については、裁判所の手続による場合15歳以上の子については必ず子の意見をきくこととされ、子の意見は強い事情となります。15歳未満であってもそれに近い年齢であれば子の意見をきき尊重されることが多くなっています。

養育費(離婚後の子どもの養育費の分担金)

養育費も、両親の意見が一致していれば、多額に決められることも、少額で決められることもあります。両親が合意に至らない場合は、婚姻費用と同じように、両親の年収、養育する子の数、年齢を裁判所の算定表にあてはめて、算出します。相手のために住宅ローンやその他の費用などを支払っている場合や、別々に子どもを養育している場合などは、算定表からの修正が必要になり、専門的な知識が必要となるのも同様です。しかし、婚姻費用とは違い、元夫、元妻の生活費は含まれません。

面会交流

未成年の子どもがいる場合に、一緒に生活しない方の親が子どもと会う機会を約束するものです。両親の関係や子どもとの関係により、どのような決め方をするかはケースバイケースです。引き渡す場所、時間、方法、頻度を細かく決める場合もありますし、月一回面会交流させるとだけ決めるような場合もあります。
よく、面会交流を実施してくれないときは養育費を払わなくてもいいのではという質問も受けますが、養育費は面会交流の代金でなく親として支払う子どもの生活のためのお金なので、払わなくてもいいということはありません。正当な理由もないのに面会交流を実施してくれないときは、慰謝料請求をすることができます

財産分与

夫婦の共同生活によって形成した財産を離婚する際に2人で分けることをいいます。そのため、婚姻前から持っていた財産や、婚姻後でも相続や贈与によって得た財産は、夫婦の共同生活によって形成したものではないので対象となりません。これは、財産分与の中でも清算的財産分与というものですが、ほかに病気、高齢などのために稼働が困難であるという場合に離婚後の一定期間について相手の扶養のために一定額を余計に分与する扶養的財産分与、慰謝料の意味合いを持たせて一定額を余計に分与する慰謝料的財産分与というものもあります。

持ち家があって住宅ローンを抱えている場合は、その持ち家にどちらかが住み続けるのか、売るのか、貸すのかを、持ち家の評価額と住宅ローンの残額との差額を頭に入れながら考えなければなりません。

婚姻前から保有していた預貯金で、夫婦生活中に入出金が繰り返されていたような場合に、婚姻時の残高を夫婦生活とは関係のない特有財産として控除することはしません。使った分は夫婦生活中になくなったものと考えます。

小遣いで買った宝くじや競馬の馬券が大当たりした場合は、財産分与の対象となります。

しかし、夫婦の一方がギャンブルなどで個人的に負担した債務は分与の対象とはなりません。

退職金についても、婚姻期間中の就労の対価といえる部分については対象となることがありますが、将来退職金を受けられるかは不確定な部分も多いので当然にというわけではありません。就労先にもよりますが大体50歳前後から対象となってきます。公務員についてはより若い時期の離婚でも対象とされる傾向があります。

夫婦の財産に資産と負債がある場合、資産から負債を控除した残額を2分の1ずつ取得できるように、資産と負債を分配、あるいは代償金を支払うことで調整することになります。

夫婦の財産に負債しかない場合、あるいは資産から負債を控除するとマイナスになる場合、論理的に考えれば残った負債を半分ずつ負担するのが公平に思えますが、残った負債の半分の負担を相手に求めることはできないとするのが現在の実務の大勢です。負債の名義人がそのまま負債を負うことになります。

慰謝料・解決金

慰謝料は相手に不貞や暴力などの重大な問題があって離婚するときに請求することができます。解決金は慰謝料という言葉を言い換えている場合もありますし、相手に離婚に応じてもらうために払う場合もあります。

年金分割

年金のうち、国民年金の部分は、受給年齢に達した場合に老齢基礎年金として離婚した夫婦がそれぞれ受給することができますが、配偶者が加入していた厚生年金・共済年金については、離婚した場合、そのままでは加入していた元配偶者のみが受給することになります。
この厚生年金・共済年金について、離婚した場合に、それぞれの婚姻期間中の保険料納付記録を分割して、相応の老齢厚生年金・共済年金を受給できるようにするのが年金分割制度です。
なお、平成20年4月1日以降の分の保険料納付記録の分割については、相手の合意や家庭裁判所の審判を受ける必要はなく、3号分割の手続を年金事務所等で行うだけで分割することができますます。
それ以前の分も含めて年金分割を行う場合は、合意分割という手続で行う必要があり、当事者双方が年金事務所等に出頭して手続を行うか、公証役場で年金分割について合意する公正証書を作成した上で当事者の一方が年金事務所等で手続をするか、家庭裁判所で年金分割の調停・審判・判決を経たうえで、その調書をもって当事者の一方が年金事務所に手続に行くかということになります。
分割の割合は、3号分割では当然に0.5となり、合意分割の場合も0.5が大原則となります。

 離婚への流れ

離婚は、当事者本人同士の話し合いだけでまとまる場合もたくさんありますが、まとまらなければ、次のように、離婚調停、離婚訴訟へと手続を進めていく必要があります。
そして、その中で、離婚する・しない、離婚するとした場合のその条件を決めていきます。

裁判外での話し合い

離婚調停

離婚訴訟

裁判外での話し合い

裁判外での話し合いは、離婚届を提出して離婚を成立させる、いわゆる協議離婚を目指して話し合いを行う場合です。 この場合でも、親権者については、2人で決めたうえで離婚届に記載する必要がありますし、問題を残さず離婚するためには、その他に養育費や財産分与など、離婚の条件の取り決めをする必要があります。

離婚調停

裁判所に調停の申立てをして始める手続で、男女2名の調停委員が間に入って、話し合いを進めていきます。
調停では、申し立てた人を「申立人」、申し立てられた相手を「相手方」と呼びます。
調停の場(調停期日と言います。)では、まず、申立人が調停室に入って調停委員に考えを伝え、調停委員からの質問に答えたりします。それがひと通り終わると、今度は相手方が調停室に入って、調停委員に考えを伝え、調停委員から申立人の考えを伝えられ、質問に答えたりします。
そして、そのようなやり取りを繰り返して、当事者間の誤解を解いたりしながら、離婚の条件の調整を進めていきます。
1回の調停期日では、そのようなやり取りが2往復くらい実施され、次回の調停期日を決めてその日は終わります。次回の調停期日は1~2か月後になり、話し合いがまとまるか決裂するまで続けます。調停の申立てから第1回の調停期日までは1か月半から2か月程度かかります。
調停はどのくらいかかりますかという質問を良く受けますが、それはケースによって様々です。

調停も裁判手続の一つですが、事実を白黒はっきりさせる場ではありません。
どういうことかというと、ある事実(たとえば不貞の事実など)を2人とも認めていればそれを前提に話し合いを進めていきますが、片方がある事実を否定している場合は、その裏付けとなる証拠があったとしても、一方の言い分を正しいと断定するようなことはしません。
ここは注意が必要です。
事実をはっきりさせるのは、調停が不成立となった後の訴訟の場で行われます。

調停期日を重ねて、話し合いがまとまった場合は、そこで合意することとなった離婚条件について、裁判官の前で確認を受けます。確認されたことについてそれでよいと答えると、そこで確認された取り決めについては、二度と覆せない状態になります。このような効力のことを、調停手続では「確定判決と同様の効力」と説明されます。通常の裁判では第一審の判決で勝訴できなくても控訴して第二審で、さらに上告して最高裁で争うことができますが、控訴や上告をしなかったり、最高裁で判断を受けたりすると、二度と不服申し立てができない状態(二度と結論を覆せない状態)になります。このような状態を判決が確定したと言い、その判決を確定判決と言います。調停は、話し合いによって離婚の取り決めをし、裁判所の判断を受けるものではありませんが、話し合いの結果も裁判官から確認を受けると裁判で決まった場合と同じの強い効力が生じるというわけです。
具体的には、離婚する、親権者は母親、というような取り決めをしたら、やっぱり離婚しない、親権者は父親というようなことは、もう決まってしまったことなので言えなくなるということです。
さらに、裁判官から確認を受ける際、署名も押印も求められないので意外に思うかもしれません。
ここも注意が必要です。

なお、離婚調停は相手の居住地を管轄する家庭裁判所に申し立てる必要があります。

離婚訴訟

離婚調停をしても、離婚自体や離婚の条件の合意ができなかったけれども、それでも離婚を望む場合は離婚訴訟を起こします。
離婚訴訟はいきなり起こすことができず、離婚訴訟の前に必ず離婚調停をする必要があります。家庭の問題はまず話し合いによる解決を試みるべきという考え方によるもので、調停前置主義といいます。

離婚訴訟は、当事者が事実関係の主張と証拠の提出を行い、それを前提に、裁判所が離婚させる・させない、離婚させる場合はその離婚の条件を、判決で定める手続です。
離婚訴訟になると、一切話し合いによる解決がなくなるわけではなく、途中で和解により解決することもあります。
裁判所が和解を勧めてくれることもありますし、当事者の一方が和解による解決を申し出ることもできます。そこで和解による解決の見込みがあれば、和解のための話し合いの場を持つことができます。

なお、離婚訴訟は自分の居住地を管轄する家庭裁判所に提起することができます。

 離婚の話し合いを始めてから離婚するまでの問題

別居

離婚の話し合いを進める中で、同居していることが耐えられなければ別居する必要もでてきます。
この別居も離婚の成否に影響を与える場合があります。
まず、相手に離婚の意思が本気だということが伝わり離婚を促す要素にもなり、同居を続けるより早期に離婚が実現する場合があります。 また、もし、当初はさしたる離婚原因(裁判所から離婚の判決をもらえるような強い事情)がなく、裁判所の判決によって離婚を実現できない場合でも、別居期間が長くなれば裁判所に離婚を認めてもらいやすくなります。

婚姻費用

収入の少ない方の当事者や、未成年の子どもを育てている方の当事者は、相手方に婚姻中の生活費の分担金(婚姻費用)を求めることができます。
あくまで分担金なので、相手から生活費を全面的に支払ってもらえるわけではありません。
専業主婦の方で離婚をお考えの場合は、別居にあたってこの婚姻費用と今後のお仕事の収入で生活して行けるかどうか、計画を立てる必要があります。

婚姻費用の金額ですが、当事者同士で合意できれば自由に決めることができます。
相手に婚姻費用の支払いを求めたときに、相手が自分や子どもの生活に支障が出ることを心配に思って十分な婚姻費用の支払いを約束してくれることもあります。
しかし、自分の生活のこともあるからと、十分な金額を支払ってくれないことや一切支払ってくれないこともあります。
このようなときに目安になるのは、裁判所が作成した養育費・婚姻費用算定表です。裁判所のサイトに掲載されています。

裁判所 養育費 で検索しますと簡単にみつかります。

この算定表のおかげで、調停をせずとも、調停になっても同じ結果と考えて、この算定表の金額で合意することもよくあります。
しかし、それでも合意できないときは、裁判所に婚姻費用分担の調停を申立てて、支払について調停で合意をするか、合意に至らなければ審判によって裁判所に支払を命じてもらう必要があります。
裁判所では、上記の養育費・婚姻費用算定表を基準にして、当事者間の調整を行い、合意に至らなければ審判を出します。
養育費・婚姻費用算定表は、お互いの収入と育てている子どもの数、年齢から、婚姻費用の金額を決めるというものです。
大体のケースはこの算定表にあてはめれば金額が出ますが、夫も妻もそれぞれで子ども育てている場合にはこの算定表はそのままでは使えませんし、妻の住んでいる住居の住宅ローンを夫が支払っている場合など、修正が必要となる場合があります。そのようなときは弁護士に相談して適切な金額を出してもらう必要があります。
生活費の分担という意味で似た言葉に養育費というものがあります。養育費は離婚後、子どもの生活費の分担を離婚した相手に求めるものなので、婚姻中は婚姻費用を、離婚後は養育費を求めることになります。当然ながら養育費には離婚した相手の生活費は含まれていません。

次に、養育費・婚姻費用算定表による金額ですが、最低限これだけは払わないといけませんよという金額で、現実にかかる生活費の金額からすると、かなり低めの設定という印象です。

婚姻費用も養育費も本人同士で合意したのであれば、その合意書を作っておくべきです。とりあえず払っておくというだけで来てしまうと、後で簡単に金額を変更されてしまう場合があります。また、その合意書も公正証書で作っておけば、支払がされなかったときに調停や審判を申し立てずとも強制執行をすることができます。

調停や審判で決まった場合は、支払がされなかったときに裁判所の書記官に相手に支払ができない理由を尋ねて支払を促してもらう履行勧告という制度を利用することができます。それでも支払がされないときは、強制執行をすることができます。

面会交流

未成年のお子様がいて別居した場合、一方の親はお子様と日常的に会うことができなくなります。
この場合に、一緒に暮らさない方の親がお子様と面会することを面会交流と言います。スムーズに実現しない場合は、頻度や方法を決めて合意する必要もでてきます。
もし、一緒に暮らしている方の親が面会交流を拒んだ場合、一緒に暮らしていない方の親は、裁判所に面会交流の調停・審判を申し立てて面会を実現することができます。

 離婚ができる場合

今までのご説明は、主に、離婚を進めるための手続の話でした。
どういうときに離婚ができるのかについては、もう少しご説明が必要です。
離婚するには、当事者同士で合意をするか、離婚訴訟で離婚を認める判決を受けるかのいずれかしかありません。

離婚訴訟で離婚が認められる場合とは

民法には離婚事由が定められていて、それが認められる場合には相手が応じなくても離婚訴訟で裁判所が離婚を認める判決を出します。離婚事由には次のものがあります。

① 配偶者に不貞な行為があったとき。
② 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
③ 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
④ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

この中で事例が多く重要なのは①と⑤です。

①の不貞な行為とは、「配偶者ある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」をいいます。
不貞行為は一時的なものか継続的なものかは問いません。
ただ、相手方配偶者が不貞行為を知った上でそれを許しているときは、その不貞行為を理由としては離婚できない場合があります。
さらに、不貞行為をした側が相手方配偶者に対して愛情を持ち続け、過去を後悔していて、相手方配偶者にとっても夫婦関係を続けることが最良と認められるような事情がある場合に、裁判所が婚姻の継続を相当と認め、離婚請求が認められない場合もあります。
また、同性愛は不貞行為にはあたらないとされていますが、⑤の基礎事情になります。

②の悪意の遺棄は、一方配偶者が不貞相手と生活し、他方配偶者や子に生活費を送らないような場合が典型例です。

④は、そのような状態があるときでも、精神病となっている配偶者の今後の療養、生活等について不安が残されている場合には、裁判所が婚姻の継続を相当と認めて離婚請求が認められません。

⑤の婚姻を継続し難い重大な事由とは、婚姻関係が破綻している場合、すなわち、夫婦としての信頼、絆が完全に切れてしまっていて、回復の見込みがないと認められる場合を言います。夫婦間の様々な事情から、そのような状態になっているかが判断されます。
具体的な事情としては、長期間の別居、暴行、虐待、重大な侮辱、不労・浪費、犯罪行為、過度な宗教活動、精神障害、性交不能、性格の不一致などがあります。
長期間の別居とされる別居期間については、両当事者の年齢及び同居期間の長さと対比して考慮され、同居期間1年3か月に対し別居期間2年半で離婚が認められた事例があります。しかしながら、別居期間だけで単純に判断されるものではなく、別居の理由や経緯、別居前後の双方の考えや具体的にやりとりされたことなども考慮されます。
同居期間が短い場合を除き、一応の目安としては5年を念頭に置いておけばいいでしょう。

有責配偶者からの離婚請求の場合

夫婦関係の破綻に専らまたは主として責任のある配偶者を有責配偶者と言います。有責配偶者が離婚訴訟で離婚を請求しても、原則としてその離婚請求は信義に反するとして、裁判所に離婚を認めてもらえません。
しかし、

① 夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及んでいるか否か
② 夫婦間に未成熟の子が存在するか否か
③ 相手方が離婚により精神的・経済的にきわめて苛酷な状態に置かれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反すると言えるような事情があるか

という視点で問題がなければ、有責配偶者からの離婚請求が信義に反しないとして認められる場合があります。

①の別居期間は、10年を超えると同居期間等との対比をするまでもなく長期間に及ぶものと判断されます。6年で長期間に及んでいると認めたものもあります。
②の未成熟子は、独立して生計を営むことができない子を指しますが、子が高校生であっても、相応の生活費を送ってきたことなどを考慮して離婚を認めた事例があります。 ③については経済的理由による苛酷状態が重視されます。現在の婚姻費用がなくなると、慰謝料や財産分与の支払いがあっても、苛酷な状態となるとされることがあります。

離婚訴訟で離婚が認められる見込みが低いケースにおける方針

性格の不一致だけが原因という場合や、自分の方に非がある場合などは、離婚訴訟をしても離婚を認める判決は受けられないか見込みが低いので、離婚訴訟には期待せず、交渉の段階で、謙虚に気持ちを伝えたり、必要ならば謝罪したり、条件を譲ったり、解決金を渡す約束をするなど、相手に離婚に応じてもらえるような努力が必要となります。

離婚訴訟で離婚が認められる見込みが高いケールにおける方針

不貞や度重なる暴力などが原因で、離婚訴訟で離婚を認める判決を受けられる見込みが高いのであれば、離婚調停、離婚訴訟と、手続を進めていけば離婚を実現できるでしょう。
しかしその場合であっても、離婚訴訟までせずに早期に離婚を成立させたいというときは、ある程度譲歩することも頭に入れておかなければなりません。

その他男女問題

 不貞慰謝料・婚約解消などのその他男女問題

不貞行為

配偶者が第三者と不貞などの関係をもったという場合、他方配偶者は「夫婦としての実態を有する婚姻共同生活の平和の維持」という利益を侵害されたとして、その権利侵害を理由とする慰謝料請求を他方配偶者やその第三者にすることができます。
そして、その原因となる行為は肉体関係に限らず、夫婦関係の平和の維持を困難とする行為と、広く解されています。
とはいえ、やはり不貞行為の存在が中心となります。

また、その第三者に慰謝料請求できない場合としては、関係をもった時にすでに婚姻関係が破綻していたとか、婚姻関係が破綻していたと過失なく信じていた場合があります。

問題の不貞行為の証明について、本人たちが不貞行為を認めていればさして問題とはなりませんが、認めていない場合には、不貞行為の証拠を集めなければなりません。
実際に不貞行為の証拠として多いのはメールや写真です。
夫の携帯電話に肉体関係を前提としているような不貞相手とのメールのやり取りや、不貞相手との肉体関係を確信させるような写真が見つかったというのであれば有力な証拠になります。そのようなものがないときは、探偵に依頼して住居やホテルなどでの密会の様子を調査してもらうなどする必要が出てきます。

それでは、本人が認めたり不貞の証拠を押さえられたとして、いくらくらいの慰謝料が認められるのでしょうか。
これも不貞行為の期間や頻度のほか、夫婦間の関係などはもちろんですが、不貞行為によって婚姻関係が破壊されてしまったかどうかが大きく影響します。ケースバイケースですが、婚姻関係が破壊された場合で150万円くらいが目安になると思います。 不貞行為は、それを行った2人による共同不法行為なので、たとえば妻が夫の不貞の相手から慰謝料を受け取った場合に、その不貞の相手は不貞を行った夫に対して慰謝料の分担を求めて求償権の請求をすることができます。
また、それを見越して、妻としては不貞の相手に夫に対する求償権の請求をしない約束をさせてその分少額の慰謝料を受け取るという処理をすることもあります。

婚約破棄

婚約したのに正当な理由なく婚約を解消されたという場合に慰謝料や財産的損害の請求ができます。婚約破棄の事案も多種多様で、婚約時の事情、その後の生活関係、解消した側の有責性、婚姻への準備の進み具合等様々な事情が責任の有無や賠償範囲に影響を与えます。